こんにちは、きーです。今回は、またまた音楽ネタです。
「Lous and The Yakuza」というコンゴ・ベルギーのアーティストをご存知でしょうか。「Yakuza」の文字にドキっとしてしまいますよね。
今回はこの「Lous and The Yakuza」のヴォーカル「Lous」の生い立ちやバンドネームの由来、その音楽について、英語の記事を読み学びつつ、理解を深めたいと思います。
思わず凝視した「Lous and The Yakuza」のライブ
今回是非ご紹介したいライブ映像がこちら。
この NPR(アメリカの公共ラジオ放送)の「Tiny (HOME) Desk concerts」…よく私はこの番組のYouTubeを流しっぱなしにして、色んなアーティストを聴いてるのですが、このライブにはまず目を奪われました。
このvocalの存在感。その肝の座った落ち着き。深みあるハスキーな声と、グルーヴ感のある、クールでフックの効いた音楽。彼女の音楽との一体感。耳障りの良いフランス語の発音。カッコいいファッションの着こなし。様々な要素が新しい魅力となり、しばし見惚れました。
2020年8月にデビューアルバムを出したばかりのこのバンドについて、英語記事を抜粋し翻訳しながら、知識を深めて行こうと思います。
バンドネームの由来
こちらは”KALTBRUT”のインタビュー記事より。
KB: What is behind your mysterious stage name – and who are the Yakuza?
Lous is an anagram for soul, I’ve inverted the L and the S to make it Lous. This is a direct reference to my strong attachment to spirituality. The Yakuza are the beautiful people that are part of my team because I’m not alone in this project, we’re all Yakuza, all part of the team. Yakuza actually means ‘loser’ in Japanese, but in a positive way, like ‘being out of the box’. I believe the people surrounding me are all very special in their own way. KALTBRUT記事より部分引用
冒頭の質問はスバリ、以下から始まっています。
貴方のミステリアスなステージネームの背景は何ですか?そしてYakuzaとは誰の事ですか?
それに対しLousの答えは以下。
“Lous is an anagram for soul, I’ve inverted the L and the S to make it Lous. ” KALTBRUT記事より部分引用
Lousはsoul(魂)の言葉遊びで、「S」と「L」を反転しました。
“This is a direct reference to my strong attachment to spirituality. ” KALTBRUT記事より部分引用
これは私のスピリチュアリティへの強いこだわりを示しています。
anagram(名)は「文字入れ替え遊び、綴り変え遊び」の意味。invert(動)は「(位置、方向、順序等を)逆さにする、反対にする、反転させる」という意味があります。
strong attachment→強い付着、執着→強いこだわり
a direct reference→直接的な参照→示す、と訳してみました。
“The Yakuza are the beautiful people that are part of my team because I’m not alone in this project, we’re all Yakuza, all part of the team.” KALTBRUT記事より部分引用
Yakuzaは私のチームの美しい人々を意味します。私はこのプロジェクトで一人じゃないので。私たちこのチームの皆がYakuzaです。
“Yakuza actually means ‘loser’ in Japanese, but in a positive way, like ‘being out of the box’. I believe the people surrounding me are all very special in their own way.” KALTBRUT記事より部分引用
Yakuzaとは実は日本語では「敗者」という意味になります。でもポジティブに考えれば「箱の外側にいる」様でもあります。私は自分の周りにいる皆全てが、彼ら独自の世界でとてもスペシャルな存在だと信じています。
Yakuzaと聞けば日本人なら「極道」を想像するのではと思います。しかしここでは「loser」→敗者と書かれていて、そんな意味があったかな?と調べてみると…
(三枚ガルタの賭博で、八 (や) 九 (く) 三 (さ) の3枚の組み合わせで最悪の手となるところから)
役に立たないこと。価値のないこと。また、そのものや、そのさま。「やくざに暮らす」「やくざな機械」「やくざ仕事」goo国語辞書より部分引用
と、まあ近しい意味がある事が分かりました。そうだったのかー。
単語にはちょっと驚いたけど、日本語をバンド名に取り入れてくれるなんて、日本人的には嬉しく感じちゃいます。
彼女の生い立ちについて
vocalのLousは現在24歳。若い女性であるにも関わらず、その落ち着きや物腰より、彼女自身が持つ「深い何か」を感じます。ここではそれを紐解く英語記事を抜粋し、翻訳していきます。
まずLousについて改めて。
Marie-Pierra Kakoma (born 27 May 1996), known professionally as Lous and the Yakuza, is a Congolese-Belgian singer, rapper, songwriter, model, and artist. wikipediaより部分引用
Lous and the Yakuzaとして知られるMarie-Pierra Kakoma(1996年5月27日生まれ)は、コンゴ・ベルギー出身のシンガー、ラッパー、ソングライター、モデル、アーティストです。
Lousはコンゴでprominent doctors(著名な医師)である両親の元に生まれました。
When Lous was just two years old, her mother was imprisoned for two months during the Second Congo War and then moved to Belgium, with Lous herself unable to follow her for another two years. Returning to Rwanda in her early teens, she spent six years living in a country still reeling from the genocide that had taken place a decade before.vogueより部分引用
上記は「Vogue」記事より。以下翻訳です。
“When Lous was just two years old, her mother was imprisoned for two months during the Second Congo War and then moved to Belgium, with Lous herself unable to follow her for another two years.” vogueより部分引用
Lousがまだ2歳のとき、母親は第二次コンゴ戦争で2ヵ月間投獄された後、ベルギーに移され、Lous自身はさらに2年間、母親の後を追うことができなかった。
imporison(動)は「刑務所に入れる、収監する、監禁する」という意味。
The Second Congo Warとは、1998年8月から2003年7月にかけて、コンゴ共和国において民族対立や資源獲得競争が原因で行なわれた第二次コンゴ戦争を指します。
“Returning to Rwanda in her early teens, she spent six years living in a country still reeling from the genocide that had taken place a decade before.” vogueより部分引用
10代前半でルワンダに戻った彼女は、10年前に起きた集団虐殺の影響が残るこの国で、6年間の生活を送りました。
genocide(名)は「(ある人種・国民などに対する計画的な)集団虐殺」を意味します。
第二次コンゴ戦争とその余波で起きた虐殺・病・飢えで死んだ人々は2008年までの累計で500〜600万人とされ、その数は第二次世界大戦以降最悪のものとされています。また100万人以上が家や病院を追われ、周辺諸国に逃げましたが、その一部も組織的に虐殺されました。
戦争は終わりを告げても、その余波による影響は、今もまだ続いているそうです。
戦争、母の投獄、2年の別離、コンゴ、ベルギー、ルワンダへと移動を余儀なくされた難民時代、そしてLousの祖母やいとこが耐え抜いたgenoside…これら想像し難い程の残酷な時代背景の中で生き抜いた、これまでの人生。
そしてそこから見出した彼女のresilience(回復力)と希望を持ち続ける不屈の精神。彼女自身から感じる「深い何か」は、これらの非常に濃い人生経験から、発されているのだと感じました。
デビューアルバムである「Gore」はこれらの経験が、歌詞や曲に反映されたものになっています。
Lous and The Yakuzaの音楽の新しさについて
初めてこのアーティストの音楽を聴いた時に感じた、言葉にならない心地よさとカッコ良さ。それが一体どこから来てるのか??
以下はKALTBRUTのインタビュー記事より。
KB: What elements from your culture can we hear on your debut album? And how important is your origin for your current sound?
I think it’s the percussion, some ad-libs, the way I sing actually because I’m African so whatever I do is always gonna sound African. It could be neo-African, like very new wave, new vibe. Because of the fact that I’m African makes everything Africanized. In songs like “Amigo” or “Solo”, I think the percussion is very Africanized.
KALTBRUT記事より部分引用
質問は以下から始まっています。
“What elements from your culture can we hear on your debut album? And how important is your origin for your current sound? ” KALTBRUT記事より部分引用
あなたのデビューアルバムには、あなたの文化のどんな要素が含まれていますか?また、現在のサウンドにとって、あなたの出身地はどれくらい重要ですか?
element(名)は「(全体の中での必要な)要素、成分、構成成分」
origin(名)は「起源、源、源泉、発端、生まれ、出所、原因、素性」と言った意味があります。以下のLousの回答から、ここでは「出身地」としました。
“I think it’s the percussion, some ad-libs, the way I sing actually because I’m African so whatever I do is always gonna sound African. “KALTBRUT記事より部分引用
パーカッションやアドリブ、歌い方等ですね。私はアフリカンなので、何をするにもそれはアフリカンサウンドになります。
“It could be neo-African, like very new wave, new vibe. Because of the fact that I’m African makes everything Africanized.” KALTBRUT記事より部分引用
ネオアフリカ的というか、ニューウェーブ的というか、新しいバイブというか。私がアフリカ人であることから、すべてがアフリカ化してしまいます。
“In songs like “Amigo” or “Solo”, I think the percussion is very Africanized.” KALTBRUT記事より部分引用
「Amigo」や「Solo」の様な曲では、パーカッションはとてもアフリカ的だと思います。
私はフランス語はほぼ分からないので、彼女の歌声とフランス語が「スモーキーなシナモン」を振り掛けた様なテイストに感じられます。そこに彼女のoriginである「アフリカン」な要素が入り混じる事で、彼女達の音楽を更に新しいものへと昇華しているのだと思いました。
Lousのメッセージ
最後に、KALTBRUTの記事にあった彼女の言葉を。
All I want is for people to be free and be whoever you are, whatever your skin colour is. I just want you to be free and do what you wanna do, mind your business and be happy
KALTBKUT記事より部分引用
以下、翻訳です。
私が望むのは、人々が自由であり、あなたが誰であろうと、肌の色が何であろうと、ありのままでいてほしいということです。私はただ、あなたが自由であり、やりたいことをやって、自分のことを気にして、幸せになってほしいのです。
「mind your business」とは、「自分のビジネスを気にして」と訳してしまいそうですが、この「business」には「商売や会社、業績」等の私たちが良く知る意味の他に「(個人的な)事柄」という意味もあります。
なのでここで言う「mind your business」とは「あなた自身の事柄を気にして」と言う事になるのですね。
彼女のこのメッセージから、人々に対する深い愛を感じます。
今回参考にしたLous and The Yakuzaの英語記事はこちら。
KALTBRUT (ビジュアルも綺麗で英語も読みやすい。インタビュー形式)
Vogue(ビジュアル綺麗で英語も読み易い。内容は音楽とファッション寄り)
NY Times(記事内容が充実している。1回読むと、次回からはお金払わないと読めないシステム)
Wikipedia(文字だけですが、詳しく書かれており何度でも見れます)
ふと、この記事を書いている本日が、折しもLousの誕生日である5/27である事に気づきました。2021年の本日、Lousは満25歳に!おめでとうございます!!今朝は何故か「5/27」の数字の配列に音調の「ハ長調」の様な明るさを感じる…なんて思いながら起きたのも、何かあるのかしら。
たまたまの偶然でしょうが、今日この記事を書こうと思ったのも、見えない何かに動かされたのかも??なんて考えると、ちょっと嬉しく思います!
思えば私も属するオンラインのフィットネスコミュニティを企画運営するRINA OHKUMAさんも、現在25歳。アメリカで起業し、現地でピラダンスの第一人者としてパワフルに活躍されています。
私よりもうんと若い世代でグローバルに活躍されている方々から、良いvibrationをもらっていると感じる、今日この頃なのでした!
ここまでお付き合い頂きありがとうございました♪